原題は『Pocahontas』、公開は1995年。
ディズニー映画で初めて実在の人物を扱った作品でございます。
また、第二期黄金期を支えたジェフリーカッツェンバーグがディズニーを退社した直後の作品ということになります。
第二期黄金期において、ディズニー映画の作風の分岐点となったような位置づけの作品ではないでしょうか。
風はそうだと言っています。
私は本作は全くの初見でした。恥ずかしながらこれ以降の作品は殆ど見てないです。
ディズニー映画って沢山あるんですね。(棒読み)
他のディズニー映画の感想が気になる方はこちら。
ポカホンタスのあらすじは以下の通りです。
金脈を求め、開拓時代のアメリカへ旅にでるイギリスのバージニア会社一行。
ラドクリフ総督の野望は船員に莫大な金脈を掘らせ、王国を見返すこと。
一方、その船に乗り込む旅人ジョンスミスは、到着した未開の地で
ポカホンタスと出会い、やがて恋に落ちる。
異なる種族の恋の行方は・・・。
みたいな話ですかね。
この映画は悲恋のお話です。
数あるディズニー映画において数少ない男女の結ばれない恋を描いた物語となっておりまして、
ラストシーンの切なさは中々に胸を打つものがありました。
史実を元にした作品ということで、作風もシリアスです。
多分なのですが大半の人間は
ディズニー映画にそういうの求めてないです。
にも関わらず、そこにチャレンジしていったことが先ず凄い頑張ったなと思います。
そう、ディズニーは頑張ったのです。
なので僕の感想は、
「うん、頑張ったね」
です。
Blu-rayの特典である音声解説聞いてても、監督陣が互いに
「いや、俺ら頑張ったよねこれ」みたいなやり取りしてて、
二次会にでも行きそうな勢いでした。
でも、僕、社会人になって最初に教わったことが
頑張るだけじゃダメだということでした。
頑張って許されるのは学生までだと何回も聞かされました。
社会人は成果で語れるようになりなさいと。
最近は、それを言う側に回るようになりました。
そんな僕がディズニー相手に「頑張ったね」とか生ぬるいこと言ってて良いんでしょうか。
ディズニーもきっと納得しないと思います。←
なので今日は頑張った点ともっと頑張るべき点という整理で
アメとムチを使い分けた感想を書いていきたいと思います!
頑張った点
相変わらず音楽が良すぎる
今作の音楽スタッフは第二次黄金期御用達のアランメンケンが作曲を担当し、
作詞にはスティーブンシュワルツが携わりました。
左アランメンケン、右スティーブンシュワルツ |
なんといっても『Colors of the Wind』が強すぎます。
映画見たことのない僕でもこの曲聞くだけで
感動しちゃいますから。
あとは冒頭、絵画から映像に切り替わる『ヴァージニアカンパニー』も
伝統的なコーラスによる楽曲で、古き良きディズニー映画を想起してワクワクしましたし、
『Mine,Mine,Mine,』や『savages』など、ストーリーが音楽と共に進む場面は
ミュージカル映画としての見ごたえ万点だったと思います。
本作の最初の場面 |
音楽と共に切り替わっていくディズニーらしい演出 |
シリアス路線でありながらギリギリ、子供でも楽しめる
史実をベースにしているということで
分かりやすいドラマティックな盛り上がりを作りにくかったり
安易なギャグを取り入れづらいという制約がどうやらあったのではないかと思われます。
そんななかでお得意の動物キャラを緩衝材的に活用し、
物語の緩急をつけていたと思います。
左からパーシー、フリット、ミーコ |
それから、音楽と映像の表現の説得力というか力業的な演出で圧倒されます。
終盤のポウハタン族とイギリス陣営が戦に向かう場面、
『Savages』が流れながら戦の準備の映像が入れ代わり立ち代わり、
最後に両軍の雲がぶつかり合うまでの演出は神がかってました。
僕みたいな人間は「ヒャッホー!!!やれやれー!!!」と思ってました。
このあと、結局、戦わないで終わるので、正直、
なんだよやんねぇのかよ・・・ラトクリフ、もっとボコボコにされろや・・・
って思いました。
ただ、そういう意味ではクライマックスも
ポカホンタスが戦いを引き止めるだけっちゃだけなので
映像的な見せ場が作りにくかったと思いますが、
最後に父のチーフが、スミスの処刑を取りやめ、棍棒を振り上げると共に
風が周囲を取り囲み葉が舞い、Colors of the Windが流れれる場面は
なんだかんだ感動してしまいます。
武力を放棄する感動的な場面 |
もっと頑張るべき点
ポカホンタスとジョンスミス以外のキャラが覚えられない
この映画、ポカホンタス以外に感情移入できるキャラがいないです。
ジョンスミスはハンサムっぽいポジショニング気取ってますが顔がでかいです。
ポカホンタスに文明人マウント取ったりするあたりも好きになれない要因です。
顔がでかいよジョンスミス。 |
チーフはずっと顔が怖いです。
恐らくいろんな修羅場くぐってきたラーメン屋の店主みたいな顔してます。
僕は多分、そのラーメン屋は味が美味しくても緊張しちゃうから2回行きません。
気高すぎるだろ |
ナコマはポカホンタスの引き立て役みたいな塩梅の程よいブスな顔してます。
あと、ナマコのことを思い出してしまいます。それぐらいしか印象が無いです。
友達にいてくれると有難そう |
トーマスは中途半端です。
美味しいところ持っていくなら持っていくで最後お前がラトクリフ撃ち殺すぐらいのことせんかいって思いました。
こいつが両目使って撃ち殺すのは絶対ココアムじゃなかったよ。
ラトクリフ射殺してたら評価が変わってた |
ラトクリフは胸筋鍛えすぎです。
レスラーやれば? |
そして何よりココアムです。
可哀そうすぎます。
柳の木の婆さんからも「あいつは真面目過ぎてつまらん」みたいなこと言われてて、ひでぇわこいつって思いました。
婆さんは皆に優しいキャラであれよ。って思いました。
しまいにはジョンスミスとポカホンタスのキス場面に出くわして、
雄叫び上げながら襲い掛かった挙句、
トーマスとかいうモブキャラに撃ち殺されるという惨めさ全開の描き方されてます。
真面目でつまらない惨めな奴っていうなんの救いもない描き方。
全国のココアムさんがsavages歌いながら
戦の準備し始めても不思議じゃないです。
ディズニー映画キャラで最も不遇では? |
川の向こうに何があったのか
ポカホンタスもディズニーの他のプリンセス同様に
夢について歌う場面があります。
それは『Just Around the Riverbend(邦題は『川の向こうで』)』という曲に
込められてます。
が、今作では遂にポカホンタス自身、
自分の夢がよく分かっていないということで
"川の向こうに何かが待っている"という歌詞がこの曲のクライマックスになっています。
曲の最後、険しそうな道を選ぶポカホンタス |
この曲は凄い現代的ですよね。
何がやりたいのかはよく分からない。ただ未来に希望は持ちたい。
っていうニュアンスだと解釈してます。
就活中の学生たちに聞かせたらめちゃくちゃ共感生みそうな気がします。
なので、僕的には結構いいなと思ったのですが、
残念なのは結局、最後まで川の向こうに何が待っていたのか、今一つ、よく分からないです。
それは彼女が最後にジョンスミスと一緒にイギリスに行かず、
村に残る選択をしたという決断にヒントがある気はするのですが、
答えは彼女にしか分からないです。
これじゃ就活生たち、路頭に迷っちゃいます。
なので就活生は見ないほうが良いかもしれません。
でも、そんなものは自分で考えなさいというメッセージなのかもしれません。
そういう意味では逆に見たほうが良いのかもしれません。
風に聞いてみてください。
ということで、ポカホンタスの感想を終わりたいと思います。
ディズニー映画ってシリアス路線に何回かチャレンジしてて、
その度に失敗してるイメージがあります。
コルドロンなんかはまさにその典型だと思いますが。。
このポカホンタスはディズニー映画として、ギリギリのエンタメ要素も残しつつ、
しっかりシリアスな路線で観客を感動させるところまでやり切った作品なのではないでしょうか。
では、最後に一曲。
ここはやはり鉄板中の鉄板、『Colors of the Wind』とさせていただきます。
そして次回はこの作品です!!
以上終了また次回。
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